「EXECTIVE’S Choice――ゼロフィニッシュだけあればいい!」Vol.6
バイク弁当 代表・横田充洋さん

東京から1時間あまりの場所にある埼玉県秩父市小鹿野町は、バイク乗り歓迎の町として知られ、休みの日には多くのライダーが町内にあるバイク神社などのツーリングスポットや、名物の「わらじカツ丼」を目当てにやってくる。

その小鹿野町に、晴れた休日には開店前に長蛇の列ができ、入店まで2時間以上かかる日もあるというほどの人気店が今年の3月末に誕生した。それが今回ご紹介する横田さんが経営する「バイク弁当」だ。

もともと、同じ秩父市の大滝で「大滝食堂」を経営していた横田さんは、休日は多くのお客様が来店待ちになるほどの人気に加え、コロナの影響で客席を間引く必要などもあって手狭になった等の理由から移転先を探していたときに、以前バイクミュージアムとして多くのライダーが集まっていた施設が再び活動をすることになり、入居できないかと人づてに聞いて、今年の1月に移転することを決定し、3月末から営業を開始。同時に店名も大滝食堂から、そのものずばりのバイク弁当とした。

バイク弁当に続いてアライヘルメットの「アライミュージアム」も4月末にオープンして、12年間休眠していた施設もバイクの森という名前で活動を再開。再びツーリングスポットとして多くのライダーが集まることになった。

小鹿野町のバイクの森復活の立役者ともいえる横田さんは、当然バイク好きで、現在も3台のバイクを所有。加えて、本人曰く「ケミカル探しの旅に出ています」というほどの洗車好きかつ磨き好きだという。

そんなマニアな横田さんのお眼鏡に、ゼロフィニッシュがかなうのかどうかと、ある種ブームのようになっている超人気のバイク弁当の秘密を聞いてみた。

これがいま大人気になっているバイク弁当。バイクの燃料タンク型の弁当箱に入った、豚から揚げ弁当だ(写真上)
バイク弁当が移転オープンして、以前と同じ場所にバイクの森も復活した(写真下)

父親が始めた給食会社を手伝うことになったのがきっかけ

秩父市の旧大滝村(2005年に秩父市に合併された)で生まれた横田さん。大学を卒業した後は、東京にある会計事務所に勤務していた。

そんなとき、埼玉県の地域振興策として大滝村に県立の研修施設が建設され、横田さんの父親が研修生たちに食事を提供する給食会社を始めた。

しかし、素人の父親が経営する給食会社はなかなか軌道に乗らず、職業柄、父の会社の経営状況がよく分かってしまう横田さんは心配でたまらなくなり、会計事務所を退職して父の仕事を手伝うことにした。1993年、横田さんが29歳のときのことだ。

それまでは土日はお休みの会社員だった横田さんの生活はそこから一変。研修生に3食提供しなければならないため、多い日には1日で1200食の食事を出すような日々が続き、手伝い始めて半年間くらいはほとんど休まずに働いた。あまりの忙しさに、好きでずっと乗り続けていたバイクに乗る余裕もなくなってしまったそうだ。

バイク弁当|大滝食堂

高校時代から、通学で原付バイクに乗っていた横田さん。大学に入って普通二輪免許を取得してからは、各地にツーリングに行くなどバイクを楽しんでいたが、給食会社に携わるようになってあまりの忙しさにバイクに乗る時間さえもなくなってしまったという

そんな状況だったが、横田さんは給食会社に勤務し始めたときから考えていた、バイクの燃料タンク型の容器を使用した弁当を出す店、大滝食堂を2013年に開業。それまでこの世に存在していなかった燃料タンク型の弁当箱を使用するということで、開店する前に弁当箱の意匠登録を済ませるなど、準備万端でバイク弁当がスタートすることになった。2013年のことだった。

しかし、燃料タンクの形をした弁当箱など世の中には存在しないわけだから、この弁当箱を製造してくれる会社を探すのに一苦労。さらに、よりリアルなタンクの形を再現するためには実際のバイクのタンクをモチーフにしなければと思い、カワサキ・Z1とホンダ・CB750Fourのタンクにすることを決め、まずヤフオクでZ1のタンクを落札して型の製作を始めた。

横にZ1のタンクを置いて、紙粘土でタンクの形を作り、作ったタンクの内側を削って、容量を確認するためにラップフィルムを中に敷いて水を入れて……。

まさに悪戦苦闘の末、Z1タンクの弁当箱が完成。ついに、横田さんの考えたタンクの形の弁当箱を利用したバイク弁当がこの世に誕生したのだった。

ちなみに、いまある弁当箱のもう1種類、CBタンク型の完成はそれから2年後のことだった。

大滝食堂のスタートから現在までメニューは1種類で、タンクの形をした上下二分割の容器にご飯を詰め、その上に甘辛く煮たタレをかけた豚のから揚げを載せた弁当。そして、それが大いに受けた。

開店の1カ月前に店頭に「バイク弁当」という看板を出したところ、もともとバイクがよく通る道だったこともあって、ライダーたちがネットで何だろうと騒ぎ始めた。

そして、開店から1カ月ほどで休日には店の駐車場はバイクであふれ、行列ができるほどの人気店になっていた。

バイク弁当を提供する大滝食堂を開店してすぐに、休日は開店待ちのお客さんの長蛇の列ができるほどの人気となり、店の向かいにあった駐車場はたくさんのバイクであふれかえるほどだったという

とはいえ、その頃はまだ給食会社との掛け持ちで、給食の仕事が忙しいとバイクのハイシーズンにもかかわらず長期間、大滝食堂を休業するなど、悪く言えば片手間でしかない状態が続いていた。

車の大事故をきっかけに大滝食堂に専念することにした

そんなとき、奥さんとクルマに乗っているときに対向車線から飛び出してきたクルマに正面衝突されてしまった。横田さんのクルマは全損になるほどの大事故で、横田さんも奥さんもひどいむち打ち症になってしまったが、その衝突の瞬間に横田さんは「人生なにもやっていないな……」という思いが、いわゆる走馬灯のように頭をよぎったという。

このままでは後悔しかないと思った横田さんは一念発起。退路を断つために給食会社の経営はほかの人に任せ、自分はバイク弁当の大滝食堂に専念することにしたのだった。

もともと大勢のライダーの支持を得ていた大滝食堂なので、休みの日になると相変わらずお客さんが長蛇の列を作っていたが、その人気に拍車をかけたのがモリワキレーシングや湘南爆走族とコラボレーションした弁当箱。モリワキは以前からファンだったこともあって、横田さんがモリワキと交渉して実現。湘南爆走族のほうは、お客さんからたくさんリクエストをもらったために、製作会社と交渉を重ねたうえでやっとのことで実現したという。

こんなにもお客さんに愛されるバイク弁当、その秘密を横田さんに聞くと自分ではよく分からないとおっしゃるので、大滝食堂のときからのファンで、小鹿野に移転してからもすでに5~6回は通っているという常連のライダーに聞いてみた。

答えは、甘じょっぱいたれがかかってご飯が進む豚のから揚げ、数種類用意されている弁当箱を集める楽しみがある、お店がツーリングで訪れるのにほどよい距離の場所にあり、バイク好きの横田さんとの会話も楽しめる……、という答えが返ってきた。

なかでも弁当箱の魅力が一番のようで、まさに横田さんが思い描いていたことがライダーのツボを突いたのだと言えるだろう。

塗った後に艶が持続するのがいいですね

前述のように、洗車好きで磨き好きな横田さんは、YouTubeを見てケミカルや磨き方を研究するほど。そんな横田さんに、今回初めてゼロフィニッシュを使っていただいたところ、サラッとしていてとても使いやすいという印象を持ったという。

秩父市小鹿野町|バイク弁当|Yamaha|mt01|大滝食堂|ゼロフィニッシュ

さらに、スプレーして磨いた後に艶が持続するのがとても気に入ったようで、愛車のヤマハ・MT-01のエンジンのポイントは巨大なヘッドカバーで、ここは常にピカピカにしておきたいので、ゼロフィニッシュだけで輝きが長期間続いてくれるのはとても嬉しいことだという。

バイクに加えてヘルメットにも使用してもらったが、自然豊かな小鹿野町という場所柄、とても虫が多く、バイクで走るとすぐにヘルメットやシールドに虫がたくさん付いてしまうのだが、ゼロフィニッシュをコーティングした後はすぐに拭き取れるところも気に入っているそうだ。

秩父市小鹿野町|バイク弁当|アライヘルメット|大滝食堂|ゼロフィニッシュ|施工

自然豊かな小鹿野は、ちょっと走ればヘルメットのシールドやバイクのヘッドライトにたくさんの虫がこびりついてしまうのだという。しかし、ゼロフィニッシュでコーティングをしておけば、簡単に、そしてキレイに虫が取り除けるという

ゼロフィニッシュをすっかり気に入った横田さんは、バイク弁当を訪れるライダー用にヘルメットをリフレッシュしてもらうために、サンプル品を店頭に置くことを検討している。

食堂という場所柄、スプレーした時のにおいも気になるところだが、ゼロフィニッシュはほぼ無臭なので、その点も店頭で体験してもらうのに最適だと思ってくださったようだ。

モリワキ、湘爆に加えヨシムラバージョンも加わった

さてここで、バイク弁当の詳細をご紹介しよう。

メニューは前述のように豚のから揚げ弁当の一種類。

通常サイズのノーマル(1070円)をベースに、ボアアップごはん大盛り(1170円)、Rバージョン肉増し(1270円)、フルチューン(1370円)とバイク用語にちなんだバリエーションが計4種類。

秩父市小鹿野町|バイク弁当|アライヘルメット|大滝食堂

これに、弁当箱のタイプはZ型とCB型の2種類で、ブルーと黒の2種類のモリワキバージョン(CB型)、赤と黒の2種類のヨシムラバージョン(Z型)、白と青の湘爆バージョン(Z型)も同じく2種類、そしてプレーンの黒(CB型)の計7種類の弁当箱が選べる。

モリワキ、ヨシムラ、湘爆バージョンにはステッカーが付属してきて、それを自分で貼れば下の写真のような完成版のタンクが出来上がる仕組み。メニューは1種類ながら、器が7種類もあるため作り置きすることが難しく、そのために一度に大量に作ることができずにお客様をお待たせすることになってしまっていると、横田さんは申し訳なさそうに教えてくれた。

秩父市小鹿野町|バイク弁当|大滝食堂

モリワキ、ヨシムラ、湘爆バージョンがそれぞれ2色ずつと真っ黒の計7種類の弁当箱があり、モリワキ、ヨシムラ、湘南爆にはそれぞれステッカーキットが付属して、それを自分で弁当箱に貼って完成形にする。それが楽しみで、通い詰めて弁当箱を収集するライダーも多いそうだ

とはいえ、この弁当箱のバリエーションが魅力のひとつなのだから、いまさら変えるわけにもいかないだろう。

横田さんによると、バイク弁当には本当にさまざまな年代・性別のライダーが訪れるそうだ。そのため、横田さんはバイク弁当に足を運んだのをきっかけに、多くの人にバイクの楽しさや、レースのことを知ってもらいたいと考えている。

弁当箱に付属するモリワキ、ヨシムラのステッカーに同梱される説明書にはモリワキのFacebook、ヨシムラのヒストリーページにリンクしたQRコードが入っているのもその思いから。

また、地元・埼玉出身で、現在、FIM CEV REPSOL Moto2 ヨーロピアンチャンピオンシップに参戦中の石塚健選手が募金箱を置かせてほしいとバイク弁当を訪ねたのがきっかけで、石塚選手仕様の特製の弁当箱を作って特別価格で販売し、その一部を石塚選手の活動資金としてサポートするようなことも行っている。

秩父市小鹿野町|バイク弁当|大滝食堂

地元のライダー・石塚選手を応援する企画も、今までに4回ほど開催。参戦資金調達の手助けを行っている

これは、横田さんが経験した出来事もその理由となっているという。

昔、バイクで自宅に帰る途中、ガス欠でバイクが止まってしまった。ガソリンスタンドなどどこにもなく、仕方がないのでバイクを押して帰ることにした。まだ夜の8時過ぎで、クルマは何台も通るのだけれど、すべてただ通り過ぎるだけ。そんなとき、1台のバイクが停まって、ガス欠で困っていると説明したら、500mlのジュースの空き瓶にガソリンを入れて持ってきてくれた。

さらに、それでは自宅まで持たないでしょうと言って、最寄りのガソリンスタンドまで一緒に走ってくれて、ガソリンスタンドに着いたらそのまま帰ろうとしたので、横田さんがお礼をしたいと言うと、「困っている人がいたら、今度はあなたが助けてください」と言い残して去っていったのだそうだ。

それ以来、自分もあんなことをしたい、困っている人がいたら助けてあげて、あのときの恩返しをしたいとずっと思っているという。

とくにいろいろな人から話を聞くと、レースが開催されるサーキットに行ってもお客さんは少ないし、レースをしているライダーもなかなかファンと触れ合う場を持つことができない。そんな実情を聞けば聞くほど、何かできないものかと強く思うようになり、ライダーがたくさん集まる自分の店でレースに興味を持つきっかけつくりができたらと思っているそうだ。

「モリワキ、ヨシムラのことをまったく知らない若いライダーも、カワイイからと言って弁当箱を買って持って帰ってくれます」

とても地道な草の根の活動だが、なにもしなければなにも生まれない。

横田さんは多くのライダーに支持されているバイク弁当と、アライヘルメットに続いてチェーンメーカーのRK、そしてヨシムラの展示ブース(名称は「伝承・ポップ吉村メモリアルコーナー」、11月27日に開設)が加わってますます多くのライダーが訪れる場所になるであろうバイクの森という武器を手に、バイクの、そしてレースの楽しさをこれからも伝えていこうとしている。

埼玉県の地元企業ということで出店が決まった写真左のアライミュージアムでは、現行モデルや契約ライダーのヘルメットが展示されている。また、バイク弁当の入り口右側には、こちらも地元企業のチェーンメーカー・RKの展示ブースが11月27日にオープン予定。若いライダーにレースに興味を持ってもらいたいという思いから、MotoGPや世界耐久選手権のレーシングマシンに実際に使用された貴重なチェーンの展示などを行うそうだ

秩父市小鹿野町|バイク弁当|大滝食堂|ゼロフィニッシュ

Photo/Shigeru Tokunaga

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ゼロフィニッシュ

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ゼロフィニッシュ

取材協力:バイク弁当

埼玉県秩父郡小鹿野町般若360-1
電話:0494-26-6819
営業時間/定休日 : 不定
*基本的に土日祝は午前11時より営業、それ以外の営業日はウェブサイトのカレンダーを参照のこと
https://www.bikebento.jp/

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