
待ってくれたお客さんがドキドキできる外装にしたい
往年のスポーツバイクや2ストマシンを中心に、
数々のカスタムを手がけるスペシャルショップ「クオリティワークス」。
常に現場で先頭に立つ、店長でメカニックの山下伸さんに
シュアラスター ゼロフィニッシュの秀でたポイントを聞いてみた。
目次
あの筑波山で峠族に遭遇
店長の山下伸さんは、1970年の東京生まれ。現在は埼玉県川口市で「クオリティーワークス」という名前のバイクのチューニングショップを営んでいる。
中学生のときに目黒から引っ越した先の茨城で、山下さんはバイクと出会った。東京ではさして興味もなかったバイクだったけれど、新しくできた友達はみんなバイクに心を奪われていたという。いきなり人生に飛び込んできた、バイクという強烈な存在。それに乗るのが誰しも当たり前かのように、山下さんも自然とのめり込んでいったらしい。
「高校生のときに、はじめて買ったRZ50で道に迷ったことは今でも忘れられません。『いったい家はどっちなんだ?』という不安な気持ちのまま、あてどなく走っていた自分を不意に後ろから抜き去っていく猛スピードのバイクたち。何が起こっているのか、まったく分からなかった。
後日知ったのは、迷い込んだあの峠が当時の走り屋のメッカである筑波山だったということ。あのシーンは今でも強烈に脳裏に焼きついています」

「好き」をそのまま仕事にする
そんな山下さんは高校卒業後、バイクショップ勤務を経て1999年に同店をオープンした。開業当初は業者からの修理依頼が大半だったが、そののち技術の高さが広く認められることになり、現在は個人オーナー車のカスタムやメンテナンスが業務のメインだ。
雑誌などで採り上げられるマシンの大半が2スト車ということもあって2ストスペシャリストのイメージが強いものの、実際には国産旧車をはじめ、海外モデルをふくめたじつに幅広い車種を守備範囲にしている。それはショップで整備を待つ車種のラインナップを見れば明らかだ。「2ストも好きだけど、なによりバイクが好き」という山下さんの言葉がいちばん分かりやすい。
「2ストマシンは現在どの車種も人気で、高騰する中古車価格はコンディションによって新車時を上回ることなんてざらなんです。良好な機関を維持するためには、オーナーの愛情と信頼できるメカニックの存在が欠かせないと思います」

チューニングを体感してほしい
山下さんが2ストマシンを中心にチューニングやカスタムを始めたのはきっかけはヤマハのRZ250だった。まだまだ2ストブームが来る前、初期型が30万円でRZ 250Rが10万円くらいで手に入ったころだ。
「RZはそのころ価格こそ底値でしたが、もともとは名車と言われたバイクだったので認知度は高いし、走りのポテンシャルだって十分。価値は下がらないと思っていました。なにより替わるもの、替えられるものがない。この個性は強いです」
ノーマルのまま乗っても楽しいバイクだけれど、イジるともっともっと楽しくなるという。そしてそのことはRZ以外のバイクでもだいたい同じという。
「チューニングの成果を言葉じゃなくて、お客さんに体感してほしいんです。そうしてもらうことによって、楽しさに奥行きが出てきます。サーキット走行はそのためにとても有効な場所ですね。そのことをショップに来られるお客さんにも、来られない遠隔地のお客さんにも、それぞれ丁寧に答えるように努力しています」

クリーンナップは日々の作業
「自分たちが行った整備作業のあとには、どうしてもバイクの各所、外装部分にベタベタと汚れがついてしまっています。これはどうしても避けがたい。そんなときに汚れ落としや艶出し剤などのケミカル用品を使ってクリーンナップ、ブラッシュアップしていきます。この作業はほぼ毎日行いますね。とくに納車作業の時にはに欠かせません」
作業を待っていただいたお客さんには「なるべく美しい状態でバイクを納めたい」と、山下さんは話す。
「汚れの程度によって洗車から行うこともあれば、磨きだけで済むこともあります。ただし洗車は結局のところ泥汚れや油汚れが落とせるだけで、それより先を目指そうと思ったらしっかりと磨くしかありません。つまりもっと美しくしたいときは、ケミカル剤に頼るしかないのです」
洗車のメリットは多いが、完璧ではまったくないという。脂っ気を抜いてしまう洗車は、ボディの各所をカサカサにしてしまうからだ。

ゼロフィニッシュが黒を黒にする
「とくに外装類にはケミカル剤を使ってきちんと艶を与えないと、けっして美しくはなりません。手の届くところには艶出し剤を塗布して磨き、手の届かないところにはシリコンスプレーなどを噴いています。
シュアラスター ゼロフィニッシュの場合、ガラスコーティングができるというのはとても大きなメリットですね。スプレーで細かな霧を噴いた瞬間にすぐ分かるのは、ブラックの面が一気に引き締まった“黒さ”を取り戻すこと。
艶の出方が他のケミカル剤に比べて明らかに秀でているし、それはもう別次元と言っていい。いかにも“艶出ししました”というベタベタした、いやらしい感じにまったくならない。そこがいい」

ゼロフィニッシュには“ベスト”がある
クオリティーワークスの最近のお客さんは、走っているよりも磨いている時間がの方が長い。そのことを山下さんはちゃんと知っている。
「大切にしているお客さんへの納車は、喜ぶ顔が見られる数少ないチャンス。そのときマシンには最大美しくあってほしいですね。ゼロフィニッシュには、バイクを大切にする者が『このくらいがちょうどいい』と考える、艶出しの“ベストポイント”があるような気がします」
ドライすぎずウェットすぎず、もっともバイクがスタイリッシュに見える落とし所が備わっているというのだ。
「いまや遅しと、愛機の納車を待っていらっしゃるお客さんがたくさんいます。世間ではバイクが売れないと言われて久しいですが、そのことを考えると、うちはとても幸せだと思います」

photo:OZAWA YOSHIHITO text:宮崎正行
記事で紹介されたアイテム
取材協力:クオリティーワークス
埼玉県川口市に広大なワークスペースを構えるチューニングショップ。往年の2ストロークマシンを中心に、ジャンルを横断しながらさまざまなバイクを取り扱っている。店長の山下伸さんは現役のレーサーで、2020年7月に開催された「筑波ツーリスト・トロフィー」のN250FクラスではZXR250Rを駆ってポールtoウィンで優勝するほどの腕前だ。
埼玉県川口市芝宮根町18-13
TEL: 048-261-0262
www.qualityworks.jp
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MASAYUKI MIYAZAKI
宮崎正行
人文系出版社・夏目書房、自動車系出版社・二玄社/ボイスパブリケーション(『MOTO NAVI』、『NAVI CARS』、『BICYCLE NAVI』編集部)勤務を経て、編集フリーランスとして独立。オートバイ、クルマの専門誌から一般誌、WEB、広告媒体において幅広くコンテンツを制作する。1971年生まれ。自分のアイデンティティは小中高時代を過ごした中野区にあるとひけらかしつつ、大半の時間を埼玉県で費やす。中途半端に旧いモノが大好き。
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