
ほかのショップがやらないことを、やる。
FROM INSIDE #15 プロが魅せられた“ゼロフィニッシュ”
既存のショップがやらなかったようなことを、積極的に行っていく。
motoGITA代表の篠木光広さんが考える「バイクを美しくする理由」とは?
シュアラスター・ゼロフィニッシュを例に、その高いモチベーションを聞いてみた。
目次
アメリカがカッコ良かった
ショップのある立地からほど近い高井戸の小学校に通っていた「motoGITA」代表の篠木光広さん。1978年生まれの42歳だから、もしかしたら80年代よりも90年代の記憶のほうが濃いかもしれない。
そんな篠木さんが小学校1年生の時から夢中になって打ち込んでいたのがスケートボードだ。誰に教わったわけでもなかったというが、中学生のときには持ち前の運動神経でかなりのレベルにまで上達し、大会にもエントリーしていたという。
しかし、いきなりそこに割り込んできたのがバイクだ。
「アメリカンカルチャーに全身どっぷり浸かっていましたね(笑)。あのころは海の向こうの“ノリ”がめちゃくちゃカッコよく見えて仕方がなかったです。当時ですから動画はビデオテープだけですけど(笑)。
音楽も、まだインディーズだったグリーンデイとかオフスプリングとか……。スケーターが集まるメッカ、新宿中央公園に通いはじめたのは中学生のときでした。もちろんボードを自転車に載せて、です。そのころの僕の居場所はそんなロケーションでした」

スケボーからバリマシへ
そう、篠木さんはだいぶマセていた。
「自転車で行くと帰りは疲れてヘトヘト、ペダルをこぐのもやっとというカンジでしたね。でもそうこうしているうちに高校生になり、もともとすこし興味があったバイクに乗るために原付免許を取得。でも当初バイクは、スケボーに行くためのアシかヤンチャするときの道具という存在でしかなかったような気がします。
でも、あるとき……雑誌『バリバリマシン』と出会ってしまった。あのインパクトは強烈でした」
走り屋を標榜するすべてのライダー必読の月刊二輪誌、通称“バリマシ”。その誌面の勢いは、隆盛だったバイクブームの一角をしっかりと支えていた。

バイクは自分で直すしかなかった
「はじめて買ったバイクは、高校の友人に2万円で売ってもらったヤマハのスーパージョグZです。これがかなり速かった! このスクーターに乗ってヒザを擦ったときから、僕の人生はかなり方向が決まっていったような気がします(笑)。
同じようなタイミングでライブディオZXに乗っていたバイク好きの友人に出会ったことも、とても大きな出来事でした。そのときはじめて、なんでも話せて心が許せる仲間ができたと感じましたね。
ジョグ、カブ、ウルフ50、モンキーR……いろんなバイクに乗りました。新車で買ったわけじゃなかったし、ギリギリな改造もたくさんしていたので、地元のバイク屋さんに行くとあんまりいい顔をされませんでした。
そんな理由でバイクの修理は自分ですることがほとんどです。そのうち焼き付いたエンジンを載せ替えたりもするようになっていったので、素人なりに自然とバイクを触るテクニックは上達していったのかもしれませんね」

フリーウェイがきっかけで就職
ひたすら走ることが楽しかった篠木さんに、ジャンルに対するこだわりはほとんどなかったという。あるとき、ダートラ仕様のヤマハSRからいきなりホンダ・フリーウェイに乗り換えた。
「ちょっとだけカスタムしてあったそのフリーウェイでも、よく峠に行ってました。右足で踏むフットブレーキを駆使してバイクの向きを器用に変えながら……NSRとかガンマとかのレプリカ軍団を追い回す。そりゃもう、めちゃくちゃ楽しかったです。『大垂水や奥多摩にヘンなスクーターがいる』って言われていましたけど(笑)。
とても気に入っていたフリーウェイだったんですが、いまいち調子が良くなかった。でも自分にできることには限りがあるので、どこか直してくれるショップがないかと探し回りました。
そうしたら、本当にたまたま近所にフリーウェイの専門店があるのを見つけたんです。さらにはそのショップ、求人募集も出しているじゃないですか。職を転々としていた時期だったこともあって、僕はそこで働くことを勢いで決めてしまいました」

師匠の忘れられない言葉
篠木さんのメカニックとしての人生はそのショップからスタートする。整備をイロハから教えてくれる、メカの師匠につくことができたのがまず幸運だった。その師匠の言葉は今も忘れられない。「すぐにパーツ交換せず、パーツそのものを直すことで技術をもっと磨くべし。“チェンジ”ニアではなくエンジニアになれ」と諭されたことはしっかり覚えている。
「いきさつがあってそのショップを辞めたあとに、都下のスクーターの専門店に移りました。ちょうどそのころ、『自分の将来のためにも整備士の資格をちゃんと取ろう』と思い立った勢いのままに、すぐに学費を作ってのち整備士講座に通いはじめました。将来をうっすらと『いつかは独立して自分のショップを持ちたい──』と思い描くようになっていたのもそのころです。結果、ショップには6年間ほど勤めました。
その後、もともと大好きだった古いバイクをレストアや整備をするスキルが欲しくなって、有名な旧車専門店に転職します。当時の愛車もカワサキKZ1300でしたしね。古いバイクもしっかり触れるようになってから独立したかった。そのためのステップでした」

長谷川修司さんとの出会い
その旧車専門店で気の合った同僚だったのが、現在のmotoGITAを二人三脚で経営している長谷川修司さんその人だ。彼の存在があったからこそ、motoGITAは無事開店にこぎつけることができた。
「2010年10月10日にお店をオープンすることができました。場所は当時も今も変わっていません。ここ高井戸です。
10年前のそのころは、『いまからバイク屋をやるなんてどうかしている』とまで言われてしまうくらい二輪業界は長期の不振に喘いでいました。従来のバイクショップと同じやり方をしていてはすぐに立ち行かなくなってしまう、という自覚だけは当初からしっかりと持っていたつもりです。
そこで自分なりに、過去の経験を踏まえながら新しいショップとしてのアイデア、新機軸をひねり出しました」

理想は24時間オープン
そのアイデアのひとつが、営業時間を24時間体制に近づけようとすることだった。スタッフの数が十分ではなかったので簡単ではなかったが、まずは午前10時から深夜4時まででスタート。その後、最終的には「午前11時から深夜3時までオープン」のいまのスタイルに結びつけた。
「コロナ禍の今でこそ時短を迫られているので少し早めに店じまいしていますが、お店としてはこのロングな営業時間にこだわって、今後も困っているライダーのバックアップを続けていくつもりです。
SNSでのこまめな発信も、ショップへの信頼を上げるためにはとても有効だと思います。もちろん中身が大切なのは当たり前ですが、そうすることでこれまで見えにくかった整備の中身をきちんとお客さんにオープンできる。その情報にリアルタイムで提供することで、結果、寄せてくれるお客さんの信頼の“輪郭”みたいなものを感じます」

クオリティは絶対に下げない
そのためにも篠木さんは、整備にまつわるコストを下げることは決してしない。むしろ手を抜かないためにも、整備コストはしっかりお客さんに説明した上で、あえて満額いただくようにしている。
「とても言い方がむずかしいですが、安さを重んじるお客さんはそういうショップに行っていただいていいとさえ思います。でも手を抜かないことに価値を見出してくれるお客さんは、ぜひウチのショップにいらしてください。その期待に120%で応えるために全力を尽くします。繰り返しますが、クオリティは絶対に下げません」

ケミカルはいかに使うかも大事
そんな篠木さんは、お店にディスプレイするバイクの美観にも常日ごろから気を払っている。マシンは美しいに超したことはない。美しさを維持するためにさまざまなケミカル剤を使用しているが、ケミカル剤に頼る理由は明確だ。
「バイクをキレイにするためにかかるのはお金ではありません。手間そのものです。もちろんいいケミカル剤の多くは安価ではありませんが、そのパフォーマンスを生かすも殺すも“手間”次第、そのひと手間によってこそ愛車は美しく光り輝くのです。
だから『これを使っておけば間違いなし!』という考え方は、しばしばミスを誘いがちですね。指示を正しく守って、ていねいに施工してあげてください。何を使うかはとても大事ですが、いかに使うかも同じくらい大事! それぞれは両輪ですね」

プロ目線でのゼロフィニッシュ効果
「シュアラスター・ゼロフィニッシュが優れているのは、その“艶”に多くがあると僕は思います。深くて美しい艶、光沢、質感。その言葉にしづらい艶っぽさをキープするためのひと手間をライダーが日ごろ厭わなければ、常に美しい愛車に跨がれるのです。ライダー冥利に尽きる、素晴らしいケミカル剤と言えるでしょう」
艶以外の、ゼロフィニッシュのどんなところが優れているのかを聞いてみた。
「それは間違いなく手間が省けることです。さっきと言っていることが違うじゃないかと言われそうですが、僕らプロだって時間は惜しい。その点ではみなさんのキモチと違いはありません。
その限られた時間の中でパフォーマンスをマックスに引き上げようと思ったら、優れたケミカル剤をジャストな方法で施工することがすべてだと断言できるでしょう。そんなわがままなプロのニーズにきっちりと“いい仕事”で返してくれるのがゼロフィニッシュです。
お客さんの目線とプロの目線って、外装をキレイに維持したいという気持ちについてはほとんど違いがないと僕は思います。だってご褒美は、見た目が最高にすがすがしい“ツヤツヤピカピカ”ですから(笑)」

“小旅行”の素晴らしさを!
ショップの名前「motoGITA」のGITAは、イタリア語で小旅行という意味だという。ちょっとした短い距離でも、快調なバイクに乗って道のりを存分に楽しんでほしい──そんな篠木さんと長谷川さんの強い気持ちが込められた、とても愛らしいネーミングだ。
日ごろの愛車へのていねいなメンテナンスをmotoGITAに任せることができれば、きっとあなたのバイクライフはカラフルなものになるだろう。「ハイクオリティ・オブ・バイクライフ」。篠木さんが人生をかけて取り組むテーマが東京は甲州街道わき、高井戸の地で毎日実現されている。

photo:高柳健 text:宮崎正行
記事で紹介されたアイテム
商品詳細はこちら
■ゼロフィニッシュ
■マイクロファイバークロス
取材協力:Technical Shop motoGITA
古い空冷カワサキがあると思えば、最新スーパースポーツも居並んでいる。マニアックなイタスク、リッタークラスのツアラー、80年代の極上原付スクーター……。あまりに無節操な、しかしバイク好きだったら思わずドキドキしてしまう幅広いラインナップがモトジータの稀有なキャラクターだ。営業時間は11〜27時。
東京都杉並区下高井戸1-9-11 ▲03-6379-0819
営業時間11:00〜27:00 定休日/なし
http://www.moto-gita.com/
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MASAYUKI MIYAZAKI
宮崎正行
人文系出版社・夏目書房、自動車系出版社・二玄社/ボイスパブリケーション(『MOTO NAVI』、『NAVI CARS』、『BICYCLE NAVI』編集部)勤務を経て、編集フリーランスとして独立。オートバイ、クルマの専門誌から一般誌、WEB、広告媒体において幅広くコンテンツを制作する。1971年生まれ。自分のアイデンティティは小中高時代を過ごした中野区にあるとひけらかしつつ、大半の時間を埼玉県で費やす。中途半端に旧いモノが大好き。
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