カーガイが認めたゼロフィニッシュ Vol.15
キングス カスタムペイント 星 健二さん(Kenji Hoshi Kings Custom Paint)

クルマやバイクを自分好みにカスタマイズする手法の一つ、カスタムペイント。本場アメリカでの修行を経て地元福島でワン&オンリーなカスタムペイントを手がける「キングス カスタムペイント」代表の星 健二さんを訪ね、モノづくりにかける思いや、愛用中のシュアラスター ゼロフィニッシュについて聞いた。

福島県|キングスカスタムペイント|ハーレーダビッドソン|工房

日米で培ったテクニックを武器に

「最初に塗装を学んだのは鈑金塗装工場でした。その後、渡米してロサンゼルスで5年間生活しながら、持てるテクニックを生かしてバイクを中心にペイントしてきました。」

現地での経験から、日本に帰ってからも広いスペースでのびのび仕事をしたいと考え、地元である福島でその環境を整えることにした。かくして星さんは2000年に『キングス カスタムペイント』をオープン。以来、ご自身が得意とする、そして大好きなアメリカンスタイルを基本にクルマやバイク、ヘルメットをはじめ様々なものをペイントしてきた。しかし、星さんはそれだけでは飽き足らない思いを抱く。

「アメリカで生まれたカスタムペイントというカルチャーをただなぞるだけではつまらない。自分ならではのスタイルを生み出したいと考えるようになったのです。」

クライアントからのさまざまな依頼に応えるかたわら、星さんは他の誰とも違う表現方法を模索する。

「日本では、アメリカンなキャンディカラーや派手なフレームス(炎の柄)を好む人はほんの一握りで、多くのオーダーはブラックを基調としたシックなものでした。しかしただシックなカラーに塗るだけではもったいないし、つまらない。自分ならではの表現を追求する中で生まれたのが立体的な塗装技術、『3Dペイント』でした。」

福島県|キングスカスタムペイント|ハーレーダビッドソン|工房|作品

キングス カスタムペイントの工房は、福島県西白河郡にある。アメリカンな雰囲気満点の広い工房には、塗装ブースや作業スペースがあり、顧客からペイントの依頼を受け預かっている車両、星さんの作品などが収められている。左下の一台はレストア中の愛車、1960年代のGMC・サバーバンだ。

福島県|キングスカスタムペイント|ハーレーダビッドソン|工房|作品|タンク|3Dペイント

星さんならではの手法である3Dペイントが施されたバイクのフューエルタンクやヘルメット。ペイントの技術だけで作り上げたという陶磁器や金属、レザーのようなテクスチャー、そして立体感が見るものを惹きつける。その美しさはアート作品と呼べるクオリティだ。

ニューヨークでも評価された3Dペイント

塗装の技術で作り出された、カービングレザーやエッチングが施された金属のような凹凸、立体的なテクスチャーが3Dペイントの真骨頂。おそらくこれまでのカスタムペイントの世界にはなかった表現手法だ。しかし3Dペイント誕生の背景には数多くの失敗の経験があったという。

「プラモデルなどで塗装の経験がある方なら理解してもらえると思いますが。。。」と星さんは笑顔で続ける。

「マスキングしてペイントをする際に、厚塗りし過ぎるとマスキングテープを剥がしたあと必要以上に段差ができてしまいます。3Dペイントはその段差をテクスチャの表現手法に取り込んだ、いわば失敗の産物なのです。」とはいうもののデザインからマスキング、塗装、仕上げの工程まで、ペインターとしての知識や経験を総動員してこだわりぬいた先に今がある。

「だから塗装や、レザークラフト、彫金をよく知る人に『これはいったいどうやったのですか?』と質問されるのがいちばん嬉しいですね。」という。

金属板から切り出したエンブレムや螺鈿(らでん=貝殻による装飾技法)、ドライフラワーなどを透明のレジン樹脂の中に封じ込める技法も、自らが開発したオリジナルであり、今や3Dペイントに欠かせない要素だ。

「レジンも何種類もの材料を取り寄せて試行錯誤を繰り返しました。時間が経つと黄ばんだり割れてしまうなど、たくさんの失敗を経験して現在の材料に行きついたのです。」現在使っているレジンは星さんが求める透明度や耐久性をクリア、美しく仕上げるテクニックが確立している。

星さんはこれまでに国内のカーショーやモーターサイクルショーで作品を展示、多くの人に自分が手がける作品をライブで見てもらう努力も重ねてきた、。

「2019年にはニューヨークのギャラリーで展示する機会に恵まれ、3Dペイントがアートとしても評価されることを知りました。柄とかや色使いに、和のテイストを感じてくださる方も多く、いろいろ新しい発見がありました。」

バイクのフューエルタンクをキャンバスに、様々な手法の3Dペイントを施した星さんの作品群。ペイントの技術だけでベアメタルや真鍮、木材などの雰囲気を変幻自在に表現。「アイデアソースはアメリカの伝統的なカスタムペイントだけでなくピアノやエレキギターの表面仕上げ、ジュエリー、陶磁器や漆器の肌感などいろいろです。」透明レジンに封じ込めた、七色に光り輝く螺鈿の装飾も美しい。

展示の現場でも重宝しているゼロフィニッシュ

昨年秋から愛用しているという星さんに、お気に入りのケミカル、ゼロフィニッシュについて聞いた。

「バイクやクルマはもちろん、ペイントしたタンクなどもゼロフィニッシュでケアしています。これまでにいろいろなケミカルを使ってきましたが、それらと比べ拭き取りが楽で施工後の光沢感も申し分ない。品質が良くて、なくなってもお店でも手軽に購入できる。とても重宝しています。」

工房ではもちろん、イベントに出展する際にも必ず持参、現場で作品をケアするのに役立てているそうだ。

お気に入りの愛車はクジラとも呼ばれる1970年代のトヨタ・クラウンワゴン。特徴的なメッキのバンパーやローダウンされた足回りに光るワイアースポークホイールをゼロフィニッシュでケア。「つや消しペイントのボディもクロームメッキもこれ一本でいける手軽さがいいのです。」

「軽い汚れやホコリも簡単にきれいにできて便利ですね。」と言いながら施工するのはイベントなどで長距離移動する際に活躍しているシボレーのフルサイズバン、エクスプレス。工房に入庫しているクジラクラウン・ハードトップのエンジンフードもケアする。

次に、自らの手でペイントした愛車、ハーレーダビッドソン・ソフテイルをゼロフィニッシュでケア。繊細なペイントが施されたタンクはもちろん、エボリューションエンジンのヘッドカバー、エキパイなど高温になる箇所も施工。「エアゾル式のケミカルをいろいろ使ってきましたが、ゼロフィニッシュはガスが余分に出ない、ミストが飛び散らない感じがします。だから最後まで使い切ることができる。これも大事なポイントだと思います。」

最後に3Dペイントの展示用に製作しているフューエルタンクがベースのアートピースも施工。星さんは展示の現場にもゼロフィニッシュを持参、活用しているそう。3Dペイントの美しい仕上がりを、ゼロフィニッシュがバックアップしているのだ。

海外へのアピールも積極的に

「3Dペイントをもっともっとたくさんの人に見てもらいたい、知ってもらいたいのです。」

星さんは折々で何度もそう言っていた。前述の通り、Covid-19蔓延の直前にあたる2019年のニューヨークでの展示で得た手応えを、もっと確かなものにしたいという思いがあることは容易に理解できる。

「ペインターとしてだけではなく、アーティストとして認めてもらえるフィールドを開拓したいと考えています。それは、同じような仕事をしている日本の仲間たち、あるいは後に続こうとする若い人にとっても必要なことだと思います。今年5月にオーストラリアで展示する機会をいただいているので、それもきっかけにして、もっと広いフィールドに向けて発信を続けていきます。」

星さんの活躍、そして世界に羽ばたこうとしている3Dペイントに要注目だ。

福島県|キングスカスタムペイント|ハーレーダビッドソン|工房|ゼロフィニッシュ

星 健二さん
埼玉県三郷市出身。国内とアメリカ・ロサンゼルスでペイントの腕を磨き、2000年に福島で「キングス カスタムペイント」をスタート。クルマやバイクのペイントを手がけるかたわらで、オリジナリティあふれる自身の作品も数多く製作。国内はもとより、海外での展示にも積極的に取り組んでいる。直近のビッグプロジェクトは大型トラックのショーカーのペイントだそう。

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キングス カスタムペイント
星さんが主宰するカスタムペイント工房。個人やショップ、法人などの依頼を受け、20年以上にわたりクルマやバイク、ヘルメットなどのペイントを中心に製作。全国に多くのファンを持つ。星さんの奥様、息子さんもスタッフとして大活躍中。

撮影協力

キングス カスタムペイント
Tel: 0248-21-9355
https://www.instagram.com/kings1950/

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