カーガイが認めたゼロフィニッシュVol.12
消防自動車博物館 鈴木靖幸さん

取材を通じて初めて鈴木靖幸さんとお会いしたのはもう10年以上前。公務員としてのお仕事のかたわらで消防自動車をコレクションしていると聞いて驚いたものだ。2022年の5月、茨城県筑西市に鈴木さんのコレクションが並ぶ『消防自動車博物館』がオープンする。その準備が進む現地を訪ね、“Car Guy”ならぬ“Fire Engine Guy”に消防自動車愛とそのケアについてお話を聞いた。

茨城県筑西市|ザヒロサワシティ|消防自動車博物館|クラシックカー|消防車

消防自動車という文化遺産を後世に

2009年の段階で鈴木さんが所有していた消防車は、38歳で手に入れたという初めての一台、1968年製いすゞTXG20化学車を含め4台。ミニカーではなく、全て1/1スケールの実物だ。

『時代ごとに変化し進化してきた消防自動車はいわば文化遺産です。それを一人で楽しむのではなく、多くの人に見てもらいたい、後世に残したいと思っています。最近昭和の火の見やぐらを手に入れたので、消防自動車博物館ができたら飾るつもりです。』と真剣にお話されていたのが印象的だった。その後もコレクションは増え続け、2015年には千葉県夷隅郡に8台を収蔵した私設の消防自動車博物館をオープンする。筆者がそこを取材した2018年には消防車13台と救急車1台が展示されており、他にレストア中の車両もあった。

『東京・板橋のショップ、オートジャンクションの代表、安井一郎さんをはじめ、いろいろな方のご協力により『動態保存』を基本にしています。ハシゴやポンプも可能な限り動かせるようにしており、現状動かない個体も順次修理、整備していきます。』と鈴木さんは言っていた。

平日は公務員としての勤務があるため、その博物館は週末のみの開館だった。それでも充実したコレクションが話題となって、老若男女を問わず多くの来館者で賑わい、複数の雑誌やテレビ番組でも紹介された。

しかし2019年9月に発生した台風15号で借りていた施設が被災、消防自動車博物館は継続不能になってしまった。その後も増え続けていたコレクションをどこに移動・保管するか、鈴木さんは頭を悩ませることになる。

茨城県筑西市|ザヒロサワシティ|消防自動車博物館|クラシックカー|消防車

千葉県夷隅郡にあった鈴木さんの私設ミュージアム。絵本の主人公を実車で再現した『しょうぼうじどうしゃじぷた』をはじめ、日本各地で実際に活躍していた消防自動車が見られることから、注目を集めた。しかし台風で建物が被災し2019年の9月に惜しまれつつ閉館となった。写真は筆者が2018年に取材した当時のもの。ジープ型の『しょうぼうじどうしゃじぷた』に乗るのが鈴木さんだ。

消防自動車愛と情熱が人の心を動かす

行き場を失った消防自動車たちをどうしたらいいのだろう…と、途方に暮れていた鈴木さんに支援を申し出たのが、茨城県筑西市の『ザ・ヒロサワ・シティ』だった。

「すでにあったバイクミュージアムなどに新しいコンテンツを加え、乗り物のテーマパークをオープンする計画があり、そこに消防自動車博物館を加えていただけることになったのです。」

2022年の5月にオープンするというそこは、カマボコ型の建物と消防署そっくりに作られた建物からなり、既に昭和の日の見やぐらも設置されていた。展示されるのは戦前から1980年代までの消防自動車のほか江戸時代の火消しが使った装備や、明治~昭和初期の消防ポンプなど、消防にまつわる様々なアイテム。隣接する別棟には1,000を超えるという消防自動車のミニカーやブリキのオモチャ、玩具などが陳列されている。これら全てが鈴木さんのコレクションだ。

「たくさんの方のご協力のおかげで、これ以上ない恵まれた環境の中でたくさんの展示物をご覧いただけるようになります。消防自動車博物館の館長として多くの方に消防自動車の魅力をお伝えできる日がまもなくやってきます!」

ホビーの領域をはるかに超えた消防自動車愛溢れるコレクション、そして鈴木さんの情熱が人の心を動かし、唯一無二のミュージアムの第二章が始まるのだ。

茨城県筑西市|ザヒロサワシティ|消防自動車博物館|クラシックカー|消防車

茨城県筑西市の「ザ・ヒロサワ・シティ」敷地内でオープンの準備が進められている「消防自動車博物館」の様子。展示されるのは消防車16台と救急車が1台。その一部をご紹介。左上から時計回りに。大正9(1920)年製、T型フォードベースの消防車はケミカルタンク搭載で日本国内で使われていた車両。昭和11(1936)年製のV8フォードがベースの消防車。昭和43(1968)年製、いすゞTXG20化学車は鈴木さんが20年前に入手したコレクション第一号車。長野にあった5万円の廃車を、陸送費20万円かけて東京まで運んだという。昭和18(1943)年製で、空襲による戦火をくぐり抜けてきたトヨタKBは、『東京大空襲』が題材のNHKドラマにも登場している。

茨城県筑西市|ザヒロサワシティ|消防自動車博物館|クラシックカー|消防車|ミニカー|コレクション

他にも江戸時代の火消し道具やまとい、明治・大正・昭和初期の消防ポンプ、玩具やミニカーまで、消防にまつわる膨大なコレクションが展示される。昭和の火の見やぐらもすでに設置されていた。

消防自動車のケア、やるときは徹底的に

自家用車を含め洗車やワックスがけにマメな方ではないが、やる時は隅々まで徹底的にやるという鈴木さん。ボディ・ケアの仕上げにはもぱら固形ワックスを使っているという。

「今ここに展示している消防自動車の中には塗装が傷んで錆びている車両も多いのですが、順次修理してオリジナルに近いカラーに再塗装しようと考えています。オープンまでに全てを仕上げることはできませんが、来館されるお客様に楽しんでいただけるよう、可能な限りキレイにしてやるつもりです。」と話してくれた鈴木さんに、シュアラスター・ゼロフィニッシュを使っていただいた。鈴木さんが選んだのは、100年以上前に作られたV8フォードの消防自動車だ。

現役で活躍していた頃の塗装がいいコンディションで残っているボディにゼロフィニッシュ施工しながら、「こういう製品は初めて使いますが、手軽でいいですね。」と鈴木さん。まずは右フロントのフェンダーと、そこに取り付けられたヘッドライトのケースをケア。

ボディと同色にペイントされたホイールとメッキのセンターキャップを施工。ボンネットの高い部分はステップに載って拭きあげてゆく。左のフェンダーやヘッドライトケースも施工。赤いボディに深みが増してゆく様子に満足そうな笑顔の鈴木さん。

メッキのフロントバンパーにもゼロフィニッシュを吹き付けて拭き上げる。「塗装だけでなく様々な場所をこれ一本でケアできる手軽さもいいですね。」

クラシックカーらしく左右に張り出したリアフェンダー、ダブルタイヤになった彫りが深いホイールも施工。「ツヤが出過ぎることなく、ガラスコーティングができるという点も素晴らしいと思います。多少の埃なら水洗いせずにそのままスプレー施工できるゼロフィニッシュは、展示車両をキレイに保つのにもピッタリですね。」と鈴木さん。

たくさんの人に消防自動車の魅力を伝えたい

準備が進められている消防自動車博物館を訪ねたのは2021年の師走、5月のオープンまでまだ時間があるが「やらなければいけないことは山ほどあります。」と鈴木さんは言う。

「ザ・ヒロサワ・シティの皆さんをはじめ、これまでお世話になってきた方々のおかげで、素晴らしい環境の博物館ができあがります。オープンした暁には、子供から大人まで、とにかくたくさんの方にお越しいただき、消防自動車の魅力に触れて欲しいと思っています。ここザ・ヒロサワ・シティでは、魅力的な博物館や展示物が同時にお披露目される予定です。オープンの日が今から楽しみでなりません!」と話す鈴木さんの目は少年のように光り輝いていた。

茨城県筑西市|ザヒロサワシティ|消防自動車博物館|クラシックカー|消防車|ミニカー|コレクション

筆者も幼い頃に夢中で読んでいた絵本『しょうぼうじどうしゃじぷた』は、驚くことに今でも書店に並んでいるのだ。その主人公を実車で再現したのも「老若男女を問わずたくさんの人に消防自動車の魅力を伝えたい!」という鈴木さんの熱い思いが原動力になっていたに違いない。

消防自動車博物館|クラシックカー|クラシックバイク|消防車|ミニカー|コレクション|新幹線|飛行機|テーマパーク

広大な敷地面積を誇るザ・ヒロサワ・シティ。その中にオープンする『乗り物・テーマパークエリア』には、消防自動車博物館の他にもクラシックカー、バイクのミュージアム、航空博物館、レールパークなど魅力的なコンテンツが用意される。零戦や国産旅客機YS-11などの屋内展示、屋外に鎮座するD51やブルートレイン、新幹線も圧巻だ。

消防自動車博物館|テーマパーク|館長

鈴木靖幸さん
子供の頃からの消防自動車好きは、大人になっても冷めるどころか加速し続け、38歳でいすゞTXG20化学車を入手。以来、現在までに救急車1台を含むたくさんの消防車両を収集。紆余曲折を経て2022年5月、鈴木さんのコレクションを展示した「消防自動車博物館」がオープン。その館長に就任する。

消防自動車博物館|クラシックカー|クラシックバイク|消防車|ミニカー|コレクション|テーマパーク

消防自動車博物館
茨城県筑西市で100万㎡の広大な敷地をもつ「ザ・ヒロサワ・シティ」の乗り物・テーマパークエリアとともに2022年5月にオープン。ちなみに「消防自動車博物館」に展示されるのは車両からミニカーまで全て鈴木さんのコレクションである。

取材協力:消防自動車博物館

茨城県筑西市ザ・ヒロサワ・シティ内に2022年5月オープン
詳しくはザ・ヒロサワ・シティのwebサイトをご参照のこと。
https://www.shimodate.jp/

消防自動車博物館|シュアラスター|ゼロフィニッシュ

記事で紹介されたアイテム

商品詳細はこちら
ゼロフィニッシュ
マイクロファイバークロス

関連記事

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。