マシンは常に美しくあるべき。 僕のこだわりをゼロフィニッシュが確実にサポートしてくれる
- 宮崎正行
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目次
レース専用の4miniマシン製作を数多く手がける「BRE」。
店長の長谷川貴之さんに、シュアラスター・ゼロフィニッシュの優位性を教えてもらった。
いちばん大切なのがメンテナンス
取材に伺ったちょうどそのとき、店長の長谷川貴之さんはバイクのチェーンを洗浄しているところだった。そのチェーンは自分のバイク、サーキット仕様のホンダ・グロムのものだ。
練習走行したあとでもレース本戦を戦ったあとでも、長谷川さんはかならず毎回チェーンをはずして灯油で丸洗いするらしい。それがルーティンだという。
「高性能なパーツも大事だけど、いちばん大切なのはメンテナンスですから」
話しながらのその丁寧な手つきに好感を持ってしまった。
長谷川さんが店主をつとめる「BRE」は、埼玉県行田市に広い店舗と大きな作業スペースを備えるチューニングショップだ。大排気量のバイクも取り扱うものの、自身が製作するマシンの大半は通称「4ミニ」と呼ばれるジャンルのものだ。
4ミニとはスクーターをのぞいた、4ストロークエンジン搭載の小型バイクの総称で、モンキーやエイプ、グロム、カブなどを指すことが多い。
そしてそれは多分にチューニングベースとしての車両を意味する。
公道仕様にするかサーキット仕様にするかはライダーの好み次第、シチュエーションや用途に合った理想のセッティングをオーナーさんからヒアリングし、長谷川さんはマシン製作に取りかかる。
親子で4ミニチューンに没頭していった
長谷川さんがこの仕事を選んだ理由は、父親がクルマのドラッグレースにのめり込んでいたことが影響しているという。
バイク好きクルマ好きにとって羨ましい環境が、長谷川さんには日常だった。
身近にモータースポーツがあったことは、自分にとって大きかったかもしれません。自然にポケバイが与えられていたし、エンジンが載った車両がそこらへんにたくさん転がっていましたから。
あとはドラマで見た『湘南爆走族』の影響も大きかったかも。
当時の僕の目に江口洋介はめちゃくちゃカッコよく映りました。免許年齢になってすぐに中免を取ってゼファーχを購入。恥ずかしながら、事故ですぐに廃車にしてしまうんですけどね。
クルマの免許を取ってからはクルマばかりに乗ってしまい、4年くらいバイクから離れていた時期がありました。でもそんな折に父がホンダ・シャリーを買い、そこから親子でどんどん4ミニにハマっていきましたね。
『お金がかかるから4ミニには近づくな。だったら大きいバイクを買ったほうがマシ』って言っていた父本人が、ミイラ取りがミイラになってしまうという……まさかの事態(笑)。
その後すぐに長谷川さんは長谷川さんでホンダ・ダックスを購入。
それまで蓄えていた情熱を一気に吐き出すかのように、4ミニのチューニングにのめり込んでいく。
モンキーでついにドラッグレース参戦
それからは毎日トライ&エラーの繰り返しだった。セッティングを煮詰めては峠にバイクを持ち込んで走らせるも、納得のいく結果にどうしても結びつかない。思い描いていたイメージに仕上がらない苦しい日々が続いた。
正解になかなか近づけないダックスをあきらめて、ホンダ・モンキーを手に入れました。さっそくボアアップして、ツーリングや街乗りに出かけたのは楽しかったですね。
そんなとき、たまたまモトチャンプというバイク雑誌の記事で見た『SS 1/32マイル』というレースにがぜん興味を惹かれてしまったんです。
それまでもなんとなくバイクの現状に満足していなかったことは自分でも自覚していたし、普通のバイクライフにどこか物足りなさを感じていたのも事実でした。他人と競う、レースの世界。そんなヒリヒリした世界が、とても魅力的に見えました。
結局フツーに飽き足らず、“フツーじゃない”レースの世界の門を叩いたわけです。
その後長谷川さんは、船橋のオートレース場で開催された“お試し”的なドラッグレースに参戦する。
コンマ何秒を削るための専用チューンが施されたスペシャルモンキーたちが幅を利かすそのレースに、街乗り仕様の愛車モンキーを持ち込んだのだ。
しかしそこで思いがけず好タイムを叩き出してしまい、
「これでイケるのか。だったらオレが本気になれば、もっといいタイムが出せるはずだ」
と鼻息を荒くしたらしい。
誰よりも速いマシンを作るはずだった……
しかしレースはそんなに甘くはなかった。
タイムを縮めることはできたものの、リジッド化や乾式クラッチ仕様の弊害で、本番レースでは半クラッチがまったくうまく使えずホイールスピンを頻発させてしまう。
思い描いていたイメージとはぜんぜん違う、不足や欠点だらけの乗り物を作ってしまったと長谷川さんは激しく悔いた。
オレがレーシングカーを作れば、誰よりも速いマシンに仕上げられるに決まってる……。
生意気にも、当時はそう思っていました。でも実際にはぜんぜん違った。
たしかにタイムは以前よりも詰められたものの、街乗り仕様を捨て去ったことでいきなり扱いづらい、乗りにくいレーサーが出来上がってしまったんです。
これでもかというくらい様々なチューニングメニューを熱心に施したにもかかわらず、タイムはたったの5/100秒しか削れていなかったことがなによりもショックでした。車重だってかなり軽くなっているはずなのに、凡庸なタイムしか出せない……
めちゃくちゃ悔しかったですね。
そんな初戦のあともレースに参戦しつづけるが、思うような結果につながらない長谷川さんの足踏み状態は約3年にも及んだ。
自力で仕上げたマシンでレコード更新!
試行錯誤のあとの4年目、ついに長谷川さんはレコードタイムを出すことに成功した。
悩みながらもあきらめずに実践した幾多のトライが、ついに実を結んだ瞬間だった。
最初の年は、エンジンは自分ではなく父が組んでいたんです。それでいいと思っていた。
でもそんなあるとき、実力のある年下のライバルがいきなり現れたんです。
彼はマシンをすべてひとりで仕上げているということを聞き、さらにその知識の深さに驚いてしまいました。
生まれてはじめて他人に『スゲーな。これじゃあ敵わないよな』と感じてしまったんです。
とくに忘れられないのは、彼がほかのクラスで優勝したときのこと。その喜び方がハンパじゃなかった。
自分ですべてやるからこその100%の歓喜。その痛快な表情を目の当たりにして僕は、それまでの考え方を改めました。
あのときの気持ちが、今の自分の原点にあるのは間違いないと思います。
自力100%で仕上げたマシンで出したレコードタイム。
そのことに価値があるということを、長谷川さんはそのとき知ったのだ。
レースは安全がいちばん大事
その後のレースでの長谷川さんの活躍には目覚ましいものがあった。
チャンプ杯やマックスゾーン、DE耐などの周回レースの世界にも足を踏み入れ、着実にチューニング技術を向上させていった。
メカニックとしてレースから得られる経験や学べる技術は、いつも僕の大切な財産です。
2018、2019年のDE耐グロムカップでは連続クラス優勝(2018年は総合優勝)することもできましたし、ひところはレーサーではなく作り手として関わっていたレースですが、今は昔のように自分でレースを走ります。
そのこと自体も、マシンセッティングを追い込んでいくスキル向上のために役立っていると思いますね。
最近強く意識するのは、『自分が作ったこのマシンは本当に安全か?』ということ。
バイクという乗り物をもっと大きな広い視点で観察したい。平常心で観察することができれば、マシンの“トータル(全体像)”を知ることにつながるんです。
たとえば車重の軽い4ミニのバイクに6ポットキャリパーの入力過大なブレーキなんて、絶対に要らない。そんなオーバースペックは危険なだけですから(笑)。
物事を俯瞰することができれば、そんな当たり前に気づくことができる。
レースで勝つことはもちろん大事だけど、安全であることはもっともっと大切。
けっしてバイクで死んではいけないのです。
想像を超える“気づき”とは?
長谷川さんには持論がある。
バイクはトータル性能がもっとも大切だということだ。
速いエンジンだけじゃダメ。それを支えるしなやかな足回り、しっかりしたブレーキとタフな車体が必要不可欠なんです。
だから僕は“トータル”が知りたい。そのためにできることのひとつが、
マシンを常に美しく維持することなんです。
これはメカとしての技術がなくても大丈夫。丁寧に外装をクリーンナップすることは、誰にだってできることですから。
レーサーだって、ツーリング車だって、ピザのデリバリー車だって、みんな同じ。走りの用途に関係なく、僕はバイクの車体はいつでも美しくあるべきだと信じています。
走行前は当然で、走行直後にも車体はきちんとクリーンナップされた状態であってほしい。そのことで発見できる不備不調はいくらでもありますし、ミスを迂回することも期待できますから。
クリーンナップという作業には、想像を超えるたくさんの“気づき”があるようだ。
ゼロフィニッシュが“安全”を推し進めてくれる
でも実際には時間がなかったり、割ける人手がなかったりすることが多い。
そんなときはどうすればいいのか?
たとえばこのシュアラスター・ゼロフィニッシュは、チリなどの大きな汚れを払ったあとにスプレーし、ウエスで拭き取るだけでいい。
たったそれだけのアクションで強固な汚れを浮き上がらせ、ガラスコーティングを施し、深い艶をよみがえらせる。
普通だったらもっと手間のかかりそうな作業工程が驚くほど簡略化できるので、施工そのものをめんどうくさがる必要がまったくなくなります。
左手にゼロフィニッシュのボトルを、右手に専用ウエスを携えて試しに施工してみれば、僕の言っていることがきっと分かってもらえると思います。
ゼロフィニッシュは、本来手間がかかるはずの工数を最大効率で助けてくれる、プロにはとても頼もしいアイテムです。
最新ケミカル剤の進化を肌で感じることができる、画期的なプロダクトだと僕は思います。
1/100秒を競るレースシーンで活躍する長谷川さんは、お客さんのマシンでも自分のマシンでも、常に美しくしていないと気が済まないと笑う。
プロのメカニックにとってある種の几帳面さは、ショップの信頼に直結するにちがいない。
そんな彼を支えてくれるのがゼロフィニッシュなのだ。
photo:高柳健 text:宮崎正行
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取材協力
BRE
モンキーやゴリラ、シャリー、ダックス、エイプ、グロムなどの4ストロークエンジンを搭載したミッション付きミニバイクを高度にカスタムするチューニングショップ。徹底したこだわりをマシンづくりに忠実に反映する長谷川貴之店長の技術に信頼を寄せるリピーターは多い。
住所:埼玉県行田市若小玉1210
電話:048-598-7456
BRE公式ホームページ
MASAYUKI MIYAZAKI
宮崎正行
人文系出版社・夏目書房、自動車系出版社・二玄社/ボイスパブリケーション(『MOTO NAVI』、『NAVI CARS』、『BICYCLE NAVI』編集部)勤務を経て、編集フリーランスとして独立。オートバイ、クルマの専門誌から一般誌、WEB、広告媒体において幅広くコンテンツを制作する。1971年生まれ。自分のアイデンティティは小中高時代を過ごした中野区にあるとひけらかしつつ、大半の時間を埼玉県で費やす。中途半端に旧いモノが大好き。
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