英国からクラシックカーでユーラシア大陸を横断、1万1,000kmを走破し日本にやってきたクリストファーさんに同行しました

島国、ニッポンに住むワタクシたち、海外へ出かけるには、飛行機以外の航路はほとんど考えることないですよね。そんななか、同じく島国イギリスから、ユーラシア大陸を横断して日本へとやってきた英国人クリストファー・ブレイキーさん(以下クリスさん)。年齢は68歳です。

その目的は9月20日から開催されるラグビーワールドカップ観戦のため。

しかも、ロンドンから東京までの1万1,100kmの行程を走るのは1937年に製造された愛車、オースティン・セブンです。一言でオースティン・セブンを説明しますと、1922年より1939年まで製造され、累計29万台が生産され、自動車を大衆化させた画期的なモデルなのです。

7月13日に英国を出発したクリスさんと“babushuka”(ロシアのおばあちゃんを意味する)と名付けたオースティン・セブンとの道中記は、クリスさんのブログ『CELEBRATION7.BLOG』 を参照してください。

クリスさんの大冒険とワタクシの関係はなに?と、皆さん思われるでしょう。実はワタクシもオースティン・セブンのオーナーなのです。
ワタクシは、1931年製造のサルーンと、1936年製造のスペシャル(用途に合わせたボディを架装したモデル)という2台のオースティン・セブンを所有。同じくオースティン・セブンを愛する友人、杉本純一くんからの依頼でした。現在、仕事でインドに赴任している彼に変わって、クリスさんとオースティン・セブンの旅の日本でのサポートを約束したのです。

2019年9月13日

境港市に夜中に到着したワタクシ、ここで、クリスさんの友人であるジョンさんと合流し、朝9時に境港へと到着するウラジオストクからの定期便DBSクルーズフェリー“イースタンドリーム号”の入港を待ちます。

韓国東海港を経由してのこのフェリー、定刻に境港へ到着。たくさんの東洋人に混じり、クリスさんも入国。待ち構えていたNHK鳥取支局、日本テレビ、読売新聞、etc.の報道陣に囲まれます。

日本へようこそ〜!メールのやり取りはしていたワタクシですが、ここで初めてクリスさんと対面します。
たくさんの報道陣も集まってくれています。入国後、取材を受けるクリスさん。

そして愛車“babushuka”を陸揚げ、英国登録の自動車を日本で走行させるためにはカルネという書類が必要です。準備していたカルネにJAF(日本自動車連盟)の許可が必要ということで、クリスさんとともに、この地域の管轄であるJAFの松江支所へ行きハンコをもらい、再び境港へと戻り通関の申請を行います。
上記の事務作業は在日30年の英国人ジョンさんが手助けします。ジョンさんは2年前に逆の行程(境港からユーラシア大陸を横断して英国へ)を行った経験から、今回のサポートメンバーのリーダーとなったのです。
フェリー会社の担当者との行き違いがあり、やきもきしましたが、15時過ぎに無事に車両引き取りも完了。オースティン・セブンとともに、再び各媒体の取材が始まりました。

フェリーから日本へと降り立ったオースティン・セブンですが、一時輸入の認証が必要です。保税地域にて保管し、税関の輸入審査を待ちます。

今回のサポートリーダー、ジョンさんが、来日したクリスさんを歓迎。

そして、いよいよクリスさんとオースティン・セブン、日本の公道デビューです。最初の目的地は、日本的な場所に案内しようというジョンさんの提案で、橋を渡り海辺を走り、境港の対面にある美保神社へとドライブ。社務所に許可をいただき、鳥居の下においた愛車を記念撮影、旅の安全を祈願しました。

美保神社へと向かう海岸線では、ウラジオストクから境港へと渡ったイースタンドリームの停泊が見えた。
クリスさんを歓迎するアルファロメオのオーナー迫愛彦さん。
鳥居下にてオースティン・セブンを撮影するクリスさん。

この日は境港市駅前にある“天然温泉 境港 夕凪の湯 御宿 野乃”へ宿泊。
天然温泉の露天風呂にはクリスさんも大喜び、高級感あふれる和風のロビーや部屋も快適でフェリー旅の疲れを癒します。

そして、夜は我々サポーターと、ジョンさんのお友達が集まりクリスさんを歓迎します。その様子はこちらの動画を御覧ください。

2019年9月14日

境港での宴を楽しんだ翌早朝。行き先は境港公共マリーナ。実は昨日集まってくれたジョンさんのお友達は30年来の付き合いだというヨット仲間。様々なアドベンチャーを体験してきたというクリスさんも当然セーラーの経験もあるということで、朝一のセイリングとなったのです。この日の風がないのと、時間も限られているので帆走とはなりませんでしたが、美しい日本海の朝を楽しむことができました。

2時間のセイリングを終えて港へ戻ると、ヒーリークラブの仲間、山田くんがスプライトでお出迎え。伴走し鳥取砂丘を目指して、山陰自動車道を走ります。

今度はクリスさんのオースティン・セブンの助手席をスキッパー川崎さんが楽しみます。

途中、クリスさんのオースティン・セブンの助手席を味わいたいと、ワタクシが山田くんのスプライトのハンドルを握ります。実はワタクシ、この趣味に深くハマっていったのは、23歳の時に乗り始めたスプライトから。現在はボディレストアを施し、あとはカーペットや椅子を取り付ければ乗れる状態なのですが、10年間、放置してしまっております。久々にスプライトのハンドルを握らせてもらい、あの頃の楽しさが蘇ります。

クリスさんのオースティン・セブン、4速ミッションとファイナルギアの変更により平坦地ならば、2,500rpmで70km巡行が可能です。70km制限と無料区間もある山陰自動車道を選択し、まずは一つ目の目的地、砂丘会館へ近づくと、建物に日の丸とともに掲揚されているのは、国際信号旗です。信号旗の“U”と“W”の2つの旗を連ねて掲揚することにより“I wish you a pleasant voyage”「旅の無事を祈っています」となるそうです。クラシックモーターサイクルを愛する砂丘会館、松永部長がハンドペイントで製作してくれました、嬉しいですね!

そうしたなか、見覚えのあるミニのバンが駐車場へ入ってきます。大阪の友人、奥野さんです。なんと彼は昨年イギリス、ゲイドンで行われたクラシックカーのイベントに、オースティン・セブンを展示していたクリスさんと会っていたのです。

日の丸の旗を立てたオースティン・セブン….なにかの募金かな?と思い、そのまま通り過ぎようとしたところ、クリスさんから日本人か?と呼び止められ、今回の旅の計画を打ち明けられたそうです。
その時は半信半疑でしたが、1年前に聞いた壮大な計画を実現しているとは凄い!応援に行かねばと大阪から愛車で駆けつけ奇跡に近い再会を喜び合う2人。
クリスさんに突然、ラグビーボールがパスされます。
鳥取砂丘をファットバイクでのツアーを企画する“TRAIL ON”のインストラクター小椋宣洋さんは元ラガーマン。クリスさんの鳥取砂丘来訪を大歓迎。様々なアドベンチャーのインストラクターをしていたクリスさんとすっかり意気投合。そうした、鳥取砂丘での歓迎会を終えクリスさんとオースティン・セブンは東に向かい出発、この日の宿泊地となる草津を目指します。

山陰自動車道の岩見ICより国道9号線へ、作家尾崎翠の生家で有名な岩井温泉を右手に眺めながら県境へとオースティンを進めます。兵庫県へ入り山間のカントリーロードを快調に進むクリスさんとオースティンでしたが、クリスさんのオースティンから、白い煙が出たあと、スロースペースになったと、前方を行くワタクシに、クリスさんの後方を走るジョンさんより連絡が入ります。
ちょうど、スーパーマーケットがあったので、駐車場をお借りし、早速、車両のチェック開始です。

ポイントは、ご覧の通り、スポットができており、ミスファイヤーもあります。ポイント、デスビのキャップ、コンデンサーも新品に交換します。それでもまだ、火花が弱い時もあるので、プラグコードも交換します。それでも調子は変わらず、、、JAFにより近くの工場に搬入し、調べてもらうことにしました。

養父市にある認証工場恵比寿自動車工業さんでは、点火時期の最適化、スパークが均等であることなど、基本的なことは初期化してもらうも、症状は変化ありません。3番と4番のシリンダーに問題あるねという診断結果。
ここから、1時間ちょっとのところに、こうした旧いクルマを得意とする亀岡トライアルランドがあるのを思い出し、恵比寿自動車さんに話すと、専門家が、近くにいるのでしたら、解決の近道ですねと、その方法を勧めてくれます。
一晩預かっていただき、翌日はお休みにも関わらず引き取り時にも対応していただきました。どうもありがとうございます。

2019年9月15日

翌朝、京都府亀岡市にある亀岡トライアルランドに到着した、クリスさん一行、すでにオースティン・セブンの引き取りは終了し、クリスさんの指示待ちの状態です。亀岡トライアルランドの森浩二郎さんは、戦前車を楽しむエンスージャスト。昭和3年から、我が国にあるオースティン・セブンのオーナーでもあり、自ら作り上げたボディのアミルカーのエンジンはなんと航空機タイガーモスのエンジンが搭載されています。これを見て、クリスさんも彼に修理を任せて安心だと感じたようです。

すでに3番と4番の圧縮がないと判断していた浩二郎さん、ガスケット、最悪だとピストンリングが原因かなという診断をしていましたが、ヘッドを外して確認すると、みると、すぐさまその原因が分かりました。3番と4番の間のヘッドガスケットが抜けています。
原因が分かれば、サポーター全員で修理に取りかかります。

修理が完了して、液体ガスケットが乾くまでの間、ワタクシも役得?昭和3年から日本にある91歳のオースティン・セブンをドライブさせてもらいました。

亀岡トライアルランド搬入から修理までの動画もご覧ください。

修理終了は夕刻、この日は亀岡トライアルランド森家のゲストハウスにて宿泊させていただくことになりました。森さんファミリーには本当にお世話になりました。そして、ここから東京までの道中を浩二郎さんのサポートも決定。心強いナイトですね。

2019年9月16日

亀岡トライアルランド森家のゲストルームで一晩を過ごした一行、翌朝のモーニングもいただき、旅を再開。
オースティン・ヒーリークラブオブジャパン(以下AHCJ)の浅田さんのスプライトが先導し、亀岡トライアルランドを出発、滋賀県の草津を目指します。トラブルのあった14日、クラシックカー仲間の南さんが、偉大な旅を達成したクリスさんを招待したいと、支配人を務めるボストンプラザ草津へと宿泊させていただいたので、トラブルにより見せることのできなかったオースティン・セブンを見てもらうために再度、草津へと向かったのです。

ボストンプラザ草津に到着し、南支配人や、応援に駆けつけたAHCJの梶山さんも合流し歓待します。

草津駅前を英国車がジャック!?

草津からは、名神高速道路を経由し一宮ジャンクションより中央高速へと入ります。上り坂を心配していた瑞波から恵那付近もペースは落とすものクリアするも、クリスさん、オースティン・セブンの不調を訴えます。まさか、またしてもエンジンのトラブルでしょうか?恵那PAにてチェックをします。

エンジンルームをチェックするとSUキャブレターのオイルキャップが外れております。サクションピストンが上下してしまい、抵抗が一定ではなくなってしまったのが原因です。これを締め付ければOKです。そして、ここを締めたのは誰だっけ?とクリスさん。皆、う〜ん、誰だっけ?と知らん顔です(笑)。エンジンルームを開けたついでにオイルや水などもチェックし補給します。

ランチは駒ヶ根にあるカフェ・グースへ。マスターの藤澤さんはこの趣味の世界では有名なヒストリックカーマニア。お店に併設されたガレージにはモーガンやフィアット500、ルノー4が並びます。クリスさんのオースティン・セブンには圧縮を高めるために、ルノー4のピストンを流用しているとのことで、会話も盛り上がります。ちなみに、我が国では、ホンダの旧いオートバイのピストンを、このオースティン・セブンに流用することがあります。国それぞれに、アイデアがあるのですね。
そしてカフェ・グースですが、どのメニューも美味しい洋食屋さんです。焼きカレーや、パスタ、ハンバーグなど、それぞれにクリスさん、サポーターは舌鼓。食後には、マスターの淹れてくれる絶品のコーヒーをいただきました。
亀岡トライアルランドから、草津駅前を経由した約330km、炎天下のなか運転をしたクリスさんにも疲労の色が見えます。この日は駒ヶ根に宿泊、夜は近くの居酒屋で、北海道直送の魚料理とお酒を楽しんだ一行でした。

2019年9月17日

日本上陸から4日目のクリスさん、駒ヶ根を出発し再び中央高速で東上します。
日本のランドマークともいえる富士山が見たいというクリスさんの要望で、今日の目的地は富士五湖周辺です。一宮御坂ICから一般道にて河口湖を目指します。このあたりはぶどうの産地です。少し余裕のできた一行はぶどう狩りをしようと、矢崎園さんに立ち寄ります。残念ながら、少し時期が遅く、ぶどう狩りはできないとのことでしたが、美味しいシャインマスカットをご馳走になりました。そして、おかみさんを乗せてプチドライブをするクリスさん。ご主人はクリスさんと同い年だそうです。

この日の難関は御坂みちを通る籠坂峠。富士五湖へ行くには避けられませんが、無事にこの上り坂も走破するクリスさんとオースティン・セブンでした。

河口湖へ到着した一行、残念ながら空は曇り模様、富士山は見えません。とりあえずお昼ご飯をいただきます。ハンバーガー屋さんに同じくオースティン・セブンを所有する荒井さんがこの後の雨予報を心配してケイマンで登場。まだ所有期間は短いという荒井さん、クリスさんに色々と質問し楽しんでいました。

富士山が見えるポイントを探し、西湖へと足を伸ばすクリスさん。雲は厚く日没のチャンスを待ちますが、この日は残念ながら富士山とは対面できませんでしたが、透明度の高く美しい湖を楽しんだようです。クリスさんとサポーターたちは、河口湖近くのホテル泊、夜はミニ乗りの大森さんも合流して、この日誕生日を迎えたジョンさんのお祝いをしてそうです。残念ながらワタクシだけ一時帰宅し家事を済ませ翌朝合流となりました。

2019年9月18日

さて、いよいよ東京へのラストスパート。朝もやもなく晴れ渡った河口湖周辺です。富士山を見るチャンスです。河口湖大橋を超えて、浜辺へと向かいます。
笠富士ですが、見ることができてクリスさんも大満足です。

ホテルへ戻ると、ラストスパートを一緒に走ろうというAHCJの武森会長と林さんが、ヒーリー100Mと3000MkⅡで登場。山中湖を経由しての道志みちを先導します。

アップダウンもあるワインディングロードの、道志みち。750ccとは思えないオースティン・セブンの軽快な走行に武森さんも驚きます。そして、相模湖ICから再び中央高速へ、東京を目指します。

中央高速から首都高速にて外苑へ。クルマの路上ミーティングの聖地ともいえる外苑前いちょう並木でランチタイムです。そして、都内を周遊し、最終目的地であるヴァルカナイズ・ロンドンへと到着。
ラグビーワールドカップ観戦の為、1万1,000kmの陸路を1937年製の愛車で走破したクリストファー・ブレイキーさん、本当にお疲れ様でした。
日本ラグビーの聖地、秩父宮ラグビー場のある青山にて英国ブランドを扱うヴァルカナイズ・ロンドン、今回の旅の終着地として、これ以上の場所はありませんね。

2019年9月19日

青山ヴァルカナイズ・ロンドンに展示されたオースティン・セブン。2ヶ月、1万1,000kmに及ぶ旅の汚れをシュアラスターラボの青木さんと広報担当の渡辺さんがクリーンアップ。ピカピカに磨きあげてくれました。

また、9月28日の16時からクリスさん本人招いてのウエルカムパーティが行われます。2ヶ月に及ぶ、貴重なユーラシア大陸横断の冒険の旅をお話しいただきます。ご興味あるみなさま、ぜひともヴァルカナイズ・ロンドンまで足を運んでみてはいかがでしょうか。

ヴァルカナイズ・ロンドン 青山

そう、クリスさんのクラシックカーでのユーラシア大陸横断という壮大な旅ですが、目的はラグビーワールドカップ観戦です。
無事に20日の味の素スタジアムの開会式、日本VSロシアのゲームを観戦。ロシアで出会ったラグビーを愛する仲間たちとの再会を楽しみました。
26日は、神戸でイングランドVSアメリカのゲームを楽しむ予定だそうです。
たくさんの人たちとの出会いがあったクリスさん。ラグビーの試合会場、青山でのウエルカムパーティなど、みなさまも、クリスさんを見かけたら、その素晴らしい旅を讃えませんか。

ジョンさんと観戦した札幌ドームでのイングランドVSトンガのゲーム後のクリスさんです。

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