スポーツバイクの選び方とメンテナンスのススメ -ワイズロード横浜店 奥平店長-

ワイズロード横浜店奥平店長

「心身ともに健康な人間を作り上げるスポーツサイクルを一人でも多くの人に紹介し、私たちみんなの地球を救っていくことがスポーツサイクル専門店である当社の使命」であると掲げ、すべての人にスポーツサイクルの価値を提供したいとの思いを込めてスポーツサイクルの販売を続ける1898年創業の老舗サイクルショップであるワイズロード。
全国各地に大型店舗を構えているが店舗それぞれには個性があって画一的な量販店ではない。そんな中でも首都圏随一の品揃えを誇る横浜店の奥平店長に、スポーツサイクルの魅力と自転車ケミカルを通じて「安全」にサイクリングを楽しむコツを聞いてみた。

スポーツバイクとの出会い

奥平店長がスポーツバイクと関わったきっかけは、大学の通学用にMTBを手に入れたことだという。とはいえあくまでも通学用で、趣味で乗るつもりは全くなく、スタンドも付けて乗っていたところ友人から、

マウンテンバイクなのに山に走りにいかないの?

とツッコミをいれられて、そこからスタンドを外したりパーツを変えたりしたことがきっかけだったという。

圧倒的な台数を誇る横浜店のMTBコーナー

もともと父親が技術屋だったこともあり、中学くらいから乗っていた自転車の整備は自分でやりなさい、と指導をされていたので、MTBの乗り始めた大学生の頃には一通り、といっても今思い返してみると素人レベルですが自転車の整備は自分でもできる状態だったんです。

その後、偶然修理に持ち込んだサイクルショップが、実はビルダーが経営するスポーツショップで、しかもショップライドで山の中を走ることも教えてくれたので、そこからMTBに乗って林道にいくようになりスポーツバイクにのめり込んだという。

大学が旭川だったので、そのショップの存在と周囲が山だらけという環境もあり、あっというまにMTBの魅力に取りつかれました。授業が終わったらショップへ行ってパーツを手に入れては自分でコンポの交換をしてみたり、工具も一式そろえて、、卒業して就職するころにはホイールの手組み以外の作業はあらかた出来るようになっていましたね。
学生時代はスキー部だったので、卒業してからはスキーか自転車のどちらかの趣味に関わることを仕事にしたいと思っていいました。いきつけのショップで出身地に近い場所にある弊社のことを教えてもらい、たまたま専門誌を見たらスタッフを募集していたこともありトントン拍子に話がすすみ、そのまま就職することになりました。それが当時は名前が違いますが、現ワイズロードの店舗です。

MTBからダウンヒルへ

入社して24年、当時はワイズロードの店舗はそれぞれ店舗のコンセプトがはっきり別れていることを反映してそれぞれ個性的な店名だったようで、奥平さんが最初に配属された池袋店は当時「ザ ファーストクラス GALAXY」という店舗名だったそう。

お店の場所は今の池袋店で変わらないのですが、店舗のコンセプトが全く違うので金太郎飴のようなチェーン店展開ではなく、それぞれの個性を反映した店舗名が付いており、色々なジャンルの勉強させてもらいました。スタッフの個性が色濃く反映されるので店長によっても色が変わります。ずっとMTBをやっていたのと、スキーをやっていてことでその共通点を感じてダウンヒルも始めるようになり、同時にプロショップとワイズロードの位置づけを考えるようになりました。
弊社はプロショップなのですが、多店舗展開しているところから一見して量販店でしょ?と言われてしまうのが悔しくて、それをなんとか変えたいという思いがありましたね。そんな時、たまたま仲良くしていたダウンヒルのトップ選手がメカニックを探していたことから、会社を説得してメカニックとして帯同させてもらうことになり、通常の店舗業務以上の経験を積むこともできました。

ワイズロード横浜店 主力取り扱いブランド名が並ぶ

2000年から5年間、レースが無いときは店舗で業務をこなし、レースがあるときはプロ選手の帯同メカニックとして、店舗では一般のお客様のバイクを、レースではコンマ数秒を争うプロのためにメカニック作業のある意味両極端な環境をその時期に体験できたことはすごく大きかったという。

安全に対する観点からはどちらも同じですが、レースの現場ではその場にあるパーツ、道具、限られた時間の中でなんとか走らせる状態にするだけでなく、結果を出せるレベルにまで仕上げなくてはいけない。店舗だったらいくらでもパーツも時間もあるし、お客様の予算にあわせて納期もこちらの都合でお伝えできる。まったく違う環境を同時に経験できたことは自分にとってとても大きくて、特にレース現場での動きは店舗での応用力を養ってくれました。

そんな奥平店長に、自転車に乗るのと整備作業をするのとどちらが好きですか?と問いかけると迷わずに「いじるほうが好きです」との返答が帰ってきた。

もう完全にいじるほうですね笑。店舗でもお客様の自転車を組んで出来上がって、それをかっこいいなぁと眺めるのが大好きで。もちろん乗るのも嫌いではないんですけど、走るのが2割、いじるのが8割、そんな感じです。ただスキーからMTBを始めて、選手の帯同もさせてもらって、という経歴は社内でもちょっと特殊です。

映画「弱虫ペダル」の監修を担当

整備はもちろん、実はスキーの経験からMTBの初心者講習も店舗のお客様向けにおこなっていた奥平店長は、その腕を買われてワイズロードが全面的にサポートして撮影した映画「弱虫ペダル」の監修に携わることになる。

大学生のときにスキーのインストラクターの資格も持っていたので、自転車の乗り方をお客様に教える時にもスキーと自転車の共通点がかなり多いことに気がついて、自分でも整備だけでなく乗り方を教えることが出来ることもわかったんですね。
それからお客様にスポーツバイクの乗り方を教える初心者講習もやっていて、その流れで2017年から会社としてサポートしていた映画「弱虫ペダル」の撮影に監修スタッフとして関わることになりました。なにかメカトラブルがあっでも撮影を止めないように対応しないといけないし、俳優さんは自転車に関しては素人だけど、サイクリストが映像を見たときに素人感があってはだめだから細かい乗り方や仕草一つ、すべてプロっぽく見える演出をしないといけない。自転車の監修、乗り方指導、メカトラブル対応、映像として見え方のチェック、などまさに今まで培ってきたことがすべて生かされる場を任せてもらいました。
監修としてワイズロードの名前がでるので責任も重たかったですが、俳優さんたちにキレイに安全に乗ってもらうことに重点をおいて、映画も成功しましたし自分にとっても貴重な経験になりました。 一生に一度あるかないかの経験ですね笑。

一作目の成功を受けて、二作目は制作サイドから指名を受けるくらいまで信頼を得た奥平店長。映像として乗れているようにみせるために俳優さんにも本格的な指導を行い、特に集団走行は素人とプロで差が歴然と出てしまうため徹底的にトレーニングを行ったそう。彼らがエンデューロなどのレースに出たらそこそこのいい成績を残せますよ、と言い切れるほど完成度も納得できるものになったようだ。

スポーツバイクの安全な乗り方

映画の制作では映像として「かっこよくみえる」ことが大切だが、安全に乗ることにもかなり気を遣ったようで、筆者(自転車歴6年)が最近教習所で行われているサイクルスクールに通っていることを話すと、

奥平店長も参加したことがあるスマートコーチング主宰のサイクルスクール

安藤さんのスマートコーチングですよね、実は僕も参加したことあるんですよ、当然安藤さんからは、え?奥平さんなんでいるの?って突っ込まれましたが笑。でも安全な乗り方をどうやって教えているのかとても気になったし、自分が人に教える上でも参考になるのでとても勉強になりました。
おかげで映画の仕上がりはかなり良いものになりましたし、俳優さんたちが撮影中にもどんどん上手くなって成長していく姿がみえて、「乗れている」撮影ができたことは非常に大きかったです。速く走る、キレイに走る、どちらも「安全」が担保されていないとできないことなので、この経験を今後は店舗で初心者講習会なども開催してお客様のスポーツバイクデビューに活かしたいですね。

スポーツバイクの選び方とメンテナンスの重要性

横浜店でスポーツバイクを買うお客様の7割は初心者の方なので、奥平店長は初めて買う方にはまず4つのポイント「予算」「機能」「サイズ」「見た目」をお伝えするという。どれも購入する上で大切なポイントだが、その中でも特に「見た目」を大事にしてほしいと言う。

「見た目です」とだけお伝えすると、すごく雑な案内だと思われてしまうかもしれないですが、また明日も乗りたい、丁寧に扱おう、という気持ちは気に入っていないバイクに対しては生まれない気持ちなんですね。機能ってたしかに差はあるんですが、サイクリングレベルで使う場合に、カーボンが軽い、コンポは105がいい、という話は初心者の方には理解しにくい話ですし、大きな違いを実感しにくいと思います。それよりは、まずは予算の範囲で見た目が気に入って愛着が湧くバイクに乗ってもらい、機能は乗れるようになった後からでもいいと思っています。

確かに見た目は重要で、また明日乗ろう、一緒に遠くまで行ってみよう、と思えるかどうかは今後サイクリングを続けて行く上で一番大切なモチベーションになるので、奥平店長のおすすめの仕方には100%同意だ。

そして見た目が気に入ったバイクには、メンテナンスして大事使おうという気持ちが絶対に生まれてくるので、自転車を趣味として長く乗れる秘訣ですし、それがメンテナンスに繋がり機材も長持ちしますよね。見た目で選んで頂いて選びきれない場合は、機能やサイズでプロ目線のアドバイスを足して、最終的にお気に入りの一台を選んで頂いています。

そんな選んだ愛車のメンテナンスに奥平店長がおすすめするのがシュアラスターの自転車ケミカルだ。今年デビューしたばかりの自転車ケミカルだが店舗のスタッフも奥平店長もが車好きでシュアラスターのワックスなどを使っていたことと、特に副店長がシュアラスターマニアであり話を聞いたところ、シュアラスター製品なら間違いないよね、という判断ですぐに横浜店での取り扱いを決めたという。カー用品店を緑色で埋めているコーナーをよく見ていたので、車やオートバイで得ていた信頼は大きく、それが自転車ケミカルの信頼にもつながっている。
奥平店長が一番好きな製品だというゼロフィニッシュについて聞いてみると、

汚れも落として艶も与えてくれる、シュッと吹くだけで使えるので施工性が高く、本当に拭いたそばから汚れが落ちて艶がでる、あれは快感です笑。施工性が高いのは一般のお客様も使いやすいのでおすすめしやすいです。価格と量のバランスもよく、眺めるのが好きな自分としては施工した部分を眺めてはうっとりしていますよ。店舗の展示バイクにも使っていますので、このエモンダの輝き、キレイでしょ。

バイクの見た目に拘る奥平店長らしい答えだが、たしかにゼロフィニッシュは施工が簡単であるにも関わらず仕上がりが抜群にキレイなので、ゼロフィニッシュを支持する業界関係者はとても多い。その他の製品についても聞いてみると、

シュアラスターのチェーンクリーナーは他のメーカーと考え方が違っていて、もともとワコーズのものをずっと使っていたのですが、方向性が違うのかなと思っています。なので使うにあたってやり方まで考えてみたのですが、ジェット噴射で汚れを吹き飛ばせるのが一番の魅力です。汚れ落としと考えると、溶かしつつジェットの勢いで落としてくれるので、掃除の時間はかなり短縮できると思います。
チェーン洗浄って、髪の毛を洗うのと同じだと思っていてこのクリーナーだけでは完結しないんですよ。チェーンクリーナーをシャンプーだと思ってもらい、これで付いた汚れを溶かしてゴシゴシ落とす。でも溶かしただけだとまだ汚れって少しのこりますよね。それを次はリンスだと思ってバイクシャンプーを使って洗い流して、水を掛けてキレイに流します。で、最後にトリートメントとしてチェーンルブを使ってチェーンの保護をする。
どうです?この流れがとてもわかりやすいので、頭を洗うと思ってこの3段階でこの製品を使ってくださいとオススメしています。

頭を洗うシャンプーにたとえて順に使い方を説明してもらう

これはかなりわかりやすい例えで理にかなっているし、確かにと思える説明なので、この話を聞いたらお客様も納得だ。チェーンルブをトリートメントと表現するのは日本全国でも奥平店長だけかもしれない。

はい、お客様が普段やっている日常作業に例えるのが一番わかり易いですよね。
チェーンの洗浄には何が必要ですか?と聞かれたときに今の流れで話をするとわかりやすいですし、3つも買わないといけないの?という顔の方も最終的には、なるほどと納得してお買い上げいただけています笑。もちろん頭のシャンプーと一緒で各社いろいろなシャンプーやリンス、トリートメントが出ていますのでそれはもう好みの部分でもありますが、シュアラスター製品の場合はこの3つが同じラインナップで揃えられるのでまずはこのセットでオススメするようにしていて、最後のトリートメント(チェーンオイル)は乗りなれてきてから好みのものを探しても良いかもしれません、とお伝えしています。
また自転車をきっかけにシュアラスター製品を知っていただき、今後車やオートバイの製品を知っていただくことも出来ると思いますし、一つのブランドでいろいろとまかなえる安心感もシュアラスター製品にはありますね。

豊富な品ぞろえのシュアラスターコーナー

店舗の営業開始直後でお忙しい中スポーツバイクの魅力やメンテンナス方法など、ここでは書ききれていないこともたくさん語っていただき大変楽しい取材になりました。
初めてのスポーツバイク選びから、乗った後の楽しみ方まで教えてくれるので慕うお客様も多いだろうと想像がつくし、取材中もいらっしゃる常連の方に声を掛けたり、e-bikeの試乗にいらっしゃった方の対応を丁寧にされていて、スポーツバイクの楽しみ方を一人でも多くに人に届けたい、という会社の思いを体現しているような奥平店長。シュアラスターの自転車ケミカルのことだけでなく、スポーツバイク選びにも最適なアドバイスをもらえると思うので、迷っている方はぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
また、店舗では他店購入のスポーツバイクでもメンテナンス対応はしてくれていますので(要予約)、今スポーツバイクに乗っている方もいろいろなお店に行ってみてスタッフさんと話をしてみて、自分の乗り方や使い方に合うお店とうまくお付き合いしてほしいとのこと。
完成車からスモールパーツ、ウェアまでトータルで揃うプロショップ、ワイズロード横浜店は、みなとみらいのワールドポーターズ内というアクセスしやすい立地なので、横浜サイクリングのついででもぜひ一度立ち寄ってもらいたい店舗です。

取材協力

ワイズロード横浜店 Y’sRoad Yokohama
神奈川県横浜市中区新港2-2-1 横浜ワールドポーターズ6階
営業時間 12:00〜20:00
定休日 なし
tel.045-263-6342
http://ysroad.co.jp/yokohama/shop

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